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1月11日は塩の日 『ねこねこ日本史』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/01/11


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『ねこねこ日本史』
そにしけんじ 実業之日本社 \800+税


戦国時代、駿河(静岡)の今川氏と相模(神奈川)の北条氏による経済封鎖で、生活必需品の塩が手に入らなくなり、困窮していた甲斐(山梨)の武田信玄。
しかしそんななか、あるところから甲斐へ義援の塩が届けられる。送り主は、武田とは敵対関係にある上杉謙信。
義を重んじる謙信は、戦は弓矢をもってするもので、領民を苦しめてすべきものではないと、敵であるはずの武田信玄へ塩を送ったのだ

この塩が届いたとされる日こそ、1569(永禄十二)年の旧暦の今日。ここから1月11日は、“塩の日”となっている。
この故事は「敵に塩を送る」のことわざでも知られるが、じつはこれ、正史には残されていない逸話で、後年、江戸時代の歴史家・頼山陽が美談として広めたもの。それだけに想像の余地も広がるが、謙信はただ単に「プレゼント好き」だったというのは、さすがに想像外かも!?

そんなふうに歴史上の人物たちをユニークに描いているのが、『ねこねこ日本史』だ。
作者は、「読売新聞」日曜版掲載の『直球一本勝負 猫ピッチャー』で話題を集める、そにしけんじ。
『猫ピッチャー』の主人公がプロ野球選手の猫なら、こちらの主人公もまた猫! 偉人たちが擬"猫"化されているのがポイントだ。
モデルとなる偉人たちのキャラクターとエピソードが、猫ならではの愛らしい笑いに変換されていて、なごませてくれる。

猫の習性に、獲物を飼い主にプレゼントしたがる、というものがあるという。“猫”謙信の行動は、ただかわいいというだけじゃなく、理に適ったところがあったのかも?
このほか、本作には、聖徳太子や織田信長、徳川家康や坂本竜馬も登場。“猫”竜馬は、暗殺するはずだった勝海舟に地球儀を示されると(ここまでは伝承どおり)、世界は広いと目を見張るのではなく、地球儀に目を回しながらじゃれついて喜ぶ始末だ。

オマケマンガの「ネコネコ世界史」も秀逸で、猫マンガとしても歴史ギャグマンガとしても楽しい1冊。
ただ、塩の故事を学ぶには、猫の謙信と信玄は、あまりにスイートすぎ!



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌「ぴあMovie Special 2014 Autumn」が9月17日に発売に。『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』パンフも手掛けています。

単行本情報

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