『創太郎の出張ぼっちめし』第1巻
マキヒロチ 新潮社 \560+税
(2014年12月9日発売)
大ヒット中の『いつかティファニーで朝食を』で、食べることが好きな主人公・麻里子に「朝食食べたいから 別れたいの」と振られ、すぐに出番のなくなった創太郎。その彼を主人公にした、スピンオフマンガだ。
『いつかティファニーで朝食を』は「朝食」だが、こちらは「全国での出張ランチ」。もちろんこのマンガから読み始めても、楽しめるつくりになっている。
出版社勤務。編集部から営業部へ移動となり、出張で全国を巡っている創太郎。保守的で食にいっさい興味なし、出張先でもチェーン店に入るタイプだが、後輩の女性社員にダメ出しされ、ひとり新しいお店を開拓することに――。
登場するのは、地元に愛されている実在のお店ばかり。イタリアン、鯛飯、喫茶店のパスタやパフェなどなど。今まで食べたことのないものを口にして、おいしさに感動する描写はさすが。
読んでいると、お腹が空いてくるし、全国あちこちへ食べにいきたくもなってくる。
最初は、職場で仙台土産として配られた「萩の月」も知らず、北海道で「白い恋人」を「これおいしいよ」と買ってくる創太郎の、「お土産選び」が徐々に変わってくる様子もリアル。
出張先での、人やご当地グルメとの出会いによって成長する彼に、新しい出会いはあるのか。次巻も楽しみです!
<文・かとうちあき>
人生をより低迷させる旅コミ誌「野宿野郎」の編集長(仮)。野宿が好きです。だらだらしながらマンガを読むのも好きです。