『まりあ17』第1巻
むんこ 芳文社 \619+税
(2015年1月7日発売)
誰もが振り返るようなロングヘアーの美少女高校生。しかし彼女はおやじ趣味丸出しなうえに、勉強も家事もできない残念女子だった……。
『らいか・デイズ』のむんこが描く、女子高生マンガ。今まで子どもや夫婦、家族ものを題材にしていた作者としては珍しい題材だ。
ヒロインの花園まりあ。普段から競馬と競艇をたしなんでおり(買うのは母親です)、麻雀を打つのも大好きで(かけるのは母親です)、パチンコもひととおり知っており(打つのは母親です)、野球観戦は欠かさず、AM局のラジオ番組の投稿が好きで、普段読むのは競馬新聞とスポーツ新聞、居酒屋で砂肝を食べるのが大好き(飲むのは母親です)。
普段学校にいく時もスポーツ新聞は欠かさず、はいているのはゴム長、食べるのは立ち食いそば、おやつは酒のつまみ。
ここまで制覇できる成人男性は、なかなかいない。美少女がやると許されそうなものだが、さすがにやりすぎて周囲もドン引き。
彼女がおっさん趣味になったのには理由がある。母親が大の博打打ちというのに加え、亡くなった父親があり金全部すってしまうギャンブラーだったから。
彼女がそれを嫌わなかったのは、両親がまりあにこれ以上ないくらい愛情を注いでいたからだ。
暴走するギャグの合間に、しっとりした人間模様をいれるのは作者の得意技。このマンガでもそのテイストは存分に発揮されている。
彼女の家庭は、博打のやりすぎで食べるものに困るほど。正直「やめたほうがいいのに」とも感じる。でも母親と彼女が幸せそうだから、博打でつながる家庭もいいのかもしれない……いやよくないだろ。
あまりに残念すぎるまりあ。なのにまわりに人が寄ってくるのは、彼女が純粋だから。
美人であることをあまり押し出さないのが、この作者らしいところだろう。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」