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『ダンジョン飯』第1巻 九井諒子 【日刊マンガガイド】

2015/01/26


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『ダンジョン飯』第1巻
九井諒子 KADOKAWA/エンターブレイン \620+税
(2015年1月15日発売)


『竜の学校は山の上』『ひきだしにテラリウム』など、ファンタジー世界を現実的な視点で見つめ直す短編で、高い評価を受ける九井諒子。
その九井初の長編連載が本作『ダンジョン飯』だ。タイトルのとおり、冒険者のライオス率いるパーティが、魔物食を研究するドワーフと出会い、迷宮でモンスターをおいしくいただいていく!

倒したバジリスクを血抜きし、内臓を取って香辛料をすりこんだり、スライムをゼラチンかわりにしてタルトを固めたり……と、「あれ、これ本気のグルメマンガだっけ?」と錯覚するほど、調理パートは凝っている。
大サソリと歩き茸の水炊き、人喰い植物のタルト、マンドレイクのかき揚げ。
毎話完成する料理を実際に食べたいかは別として、ファンタジー世界の“食”というテーマで、このリアル感は驚きに値する。

単なる敵役だった魔物に、食材という意味が付与されたとき、ファンタジー、あるいはダンジョンものはどう変わるのか? そんな実験的な意図も感じる。



<文・卯月鮎>
書評家・ゲームコラムニスト。週刊誌や専門誌で書評、ゲーム紹介記事を手掛ける。現在は「S-Fマガジン」(早川書房)でライトノベル評(ファンタジー)を連載中。
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単行本情報

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