『中村小江戸と大豆恵亮はうまくいかない』第2巻
高瀬雅也 講談社 \429+税
(2015年5月8日発売)
中学の頃からずっと大豆恵亮くんに想いを寄せていた中村小江戸さん。
晴れてつきあうことになったものの、なぜか2人が接近すると珍妙なことばかり起こる!? いったいだれが悪いのか、そういう運命のもとに生まれついているのか……。
ボウリングデートしたり、学校帰りに猫喫茶に寄ったり、大豆くんの家で彼の妹とかくれんぼをしたり……高校生らしい清い交際っぷりなのだけど、毎度毎度ビミョーにヘンな展開に。
ギリギリ“日常のひとコマ”と言い切れるレベルなのだけど、あとからその光景を思い返すと「なんだったんだ、あれ」とモヤモヤ、「そうまでして“日常のひとコマ”を成立させる意味があったのか?」とザワザワ。
何が起ころうとたいして動じない大豆くん(←じつはこれも珍妙さの根源!)と、小江戸さんのなんともカワイイびっくり顔がクセになる。
あっ、でも……こういう「うまくいかなさ」に目をつぶりながら「うまくいってる」ことにしようとするのって、それこそ相手のことがすっごく好きだからなのでは。そんな初々しい恋心を思い出させてくれる、新感覚のラブコメである。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」