新装版『まい・ほーむ』上巻
むんこ 竹書房 \833+税
(2015年6年5日発売)
マンション暮らし、父ひとり、娘ひとり。母は出て行きました。
とにかく父の言動が、お子様。遊ぶことしか考えない。ピーマンが食べられない。
毎日、赤ちゃんのように駄々をこねる父親。娘の舞はマンションの窓から父を蹴り飛ばす。
ふざけんなー!
父子家庭のドタバタな日常を描いたコメディ4コマ作品。
「母親がいない」という時点で湿っぽくなりそうな題材を、父のめちゃくちゃさと、舞のタフネスさで笑いに変えている。
父の幼さは、たしかに娘からすれば見ていて、苛立つばかりだろう。
しかし、周囲の友だちには意外に評判がいい。それは「一緒に遊んでくれる父親」の姿だからだ。
じゃあともに住んでる舞はというと、……家事はいっさいしない、仕事に行かせるのも自分の役目、炊事洗濯掃除すべて自分。一見邪魔者にしか思えない。私が親父を育てているじゃないか。
この2人のやりとりは、漫才のボケツッコミのように、阿吽の呼吸で行われいる。
上巻は舞と親父の楽しい日常がびっしり詰まっている。
なんだかんだで二人三脚ダントツ1位なくらいには息がぴったりだし、一緒に風呂にはいっては、本気で水遊びするくらいには仲よし。
舞が父に腹立てているのは事実だ。同時に親父も舞が好きでしかたないのも事実。
舞は、親父の上司にぽろりとこぼす。
「まァでも 楽しいですよ」
途中から出てくる少年・吉岡が親父と極めて仲がよくなり、舞にほのかに思いを寄せていく流れも、2人の関係をしるいいアクセントになっている上巻。
しかし、母がいない不安は、ほんのり全般に漂っている。
人が生きるには、ふざけてばかりもいられない。下巻では決断を迫られる瞬間が訪れる。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」