『たいへんよくできました。』第3巻
佐藤ざくり 集英社 \400+税
（2015年6月25日発売）

小・中学時代、不登校だった野々山ぼたん。根は決して人嫌いではなく、ちゃんと友だちを作って青春を謳歌したい気持ちを秘めている。
後戻りできないようにと、彼女は高校で寮生活を送ることをみずから選択したのだ。

同じクラスになったイケメン・甘藤くんは、友だちができないぼたんとは異なり、あえて一匹狼を貫いている様子。しかし、そんな彼の優しさに触れたぼたんは、甘藤に惹かれるとともに、彼の力になりたいと思うように。

2巻では、甘藤との距離が急接近……「（ぼたんの笑顔が）かわいすぎて困った」なんて言われちゃっていい雰囲気。基本はクールキャラな甘藤の無邪気な笑顔が増えてくるのも見どころだ。
しかし、恋は順調そうだけど、ぼたんに相変わらずなかなか友だちができないのにやきもきしてしまう。
コミュニケーションは下手だけど、勇気を持って本心をしゃべるぼたんはすっごく友だちにしたいタイプの子なのになぁ……。

本巻では、ぼたんが甘藤に背中を押されて、体育祭の運営を行う有志の会に参加、奮闘するエピソードが中心に。
しかし、この有志の会で、ぼたんは中学時代に告白されたことのある桜先輩とまさかの再会を果たすのだ。彼は、まだぼたんを想い続けているようで、甘藤くんも落ち着かない様子。
ぼたんの気持ちははっきりしているものの……桜先輩の登場がどんな波乱を生むのか、要注目だ。

＜文・粟生こずえ＞
雑食系編集者＆ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」