『代打屋ガンちゃん!』第3巻
コーヘー 小学館 \429+税
(2015年6月26日発売)
タイトルだけ聞けば、なんだかオヤジ雑誌の背脂たっぷりな作品のよう?
しかし、本作は裏稼業の話でも(たかもちげん『代打屋トーゴ―』)、ゼネコンの話でもなく(星野茂樹・石井さだよし『解体屋ゲン』)、小学生男子の遊び攻略マンガ! 子どもから絶大な支持を集める「コロコロイチバン!」で人気連載されていたのが、『代打屋ガンちゃん!』だ。
主人公は、勝負ごとならだれにも負けない、野球(のだま)ガン太。
親友のスズキ一朗やライバルで日本一のサッカー少年・足蹴(あしげり)ヨシキ、ガンちゃんのことが大好きな一輪モナ香たちと、さまざまな遊びに挑戦して攻略していくというストーリーだ。
ただし、本作の真骨頂は“コロコロ”感満載のギャグ。何せ、友だちには幽霊の花子もいて、ガンちゃんの弟分であるクソジロウはうんこ!? パロディやら小ネタとあわせて(『小学生ユーチューバー』のピカキンなるキャラも!)、下ネタがこれでもかと繰り出される! 小学生どころか、かつて小学生だった大人たちも笑ってしまうこと間違いなしだ!!
そのうえですごいのが、後味はすっきりでさわやかなところ。
下ネタ含めたはちゃめちゃなギャグをてんこ盛りにしながら、読者の顔をしかめさせないなんて、じつはなかなか技量がいるもの。
作者のコーヘー、力技のダイナミックのギャグと、それを受けての引きのメリハリも抜群にうまいが、いやぁ、それこそ遊びの天才だ。
まだちゃんと、子どもマンガにはこういう笑いが残っていて、しかも進化している。それを確かめたい人もぜひ!
<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌『ぴあMovie Special 2015 Spring』が3月14に発売に。映画『暗殺教室』パンフも手掛けています。