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『いないボクは蛍町にいる』第2巻 タナカミホ 【日刊マンガガイド】

2015/07/31


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『いないボクは蛍町にいる』第2巻
タナカミホ 講談社 \581+税
(2015年7月7日発売)


『いないボクは蛍町にいる』は、ITAN新人賞の第5回スーパーキャラクターコミック大賞・優秀賞を受賞してデビューしたタナカミホの初連載作品。
小学生男子が遭遇するひと夏の不思議を描いた、少し切ないパラレルワールドものだ。

親友の卓哉を交通事故で亡くした小学6年生の健(たける)。だが、ペルセウス座流星群に「もう一度卓哉と遊びたい」と願った翌日、切り株に開いた穴をくぐると、卓哉が生きているもうひとつの「蛍町」へとたどり着いた……。

親友が生きているかわりに、逆に自分が生まれてすぐ死んでしまったというifの世界。健は同じように見えて細かい違いがあるふたつの町を行き来し、夏休みをすごす。

2巻では、やはり大切な人を亡くした青年・アンドリューと出会い、交流を深める健だが、やがて切り株の穴はじょじょにせばまっていく……。

友情とは何か、どんな意味があるのか。繊細な少年の心の動きを、優しさを感じさせる独特の細いペンのタッチで、みずみずしく描き出す。
お話はこれで完結だが、読後は寂しくも、色あせない友情の輝きに心が満たされた。



<文・卯月鮎>
書評家・ゲームコラムニスト。週刊誌や専門誌で書評、ゲーム紹介記事を手掛ける。現在は「S-Fマガジン」でファンタジー評を連載中。
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単行本情報

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