日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『高校の日常』
『高校の日常』第1巻
ハードボイルドよし子 KADOKAWA ¥620+税
(2015年9月9日発売)
仲のいい友だちとは、じつにたくさんのどうでもいい話をしているものだ。どうでもいい話なんだからだれとでもできそうなものだが、そうとも限らなくて。
たわいのない話でも不思議に楽しいのが、波長が合うってことなのか。
本作はとある高校を舞台に親友同士(?)の会話のみで構成されるショートストーリー。
すべてのものを美少女に見立てる妄想の天才・名護くんが「電子ケトルってエロいよな」などと言い出すのに呆れつつも、実際に“エロい電子ケトル”を作ってしまう器用な橘くん。
はたから見れば仲がよさそうなのだが、本人たちは否定しそう!?
スタイル抜群のお嬢様・草加さんの顔を見れば、なぜかほっぺたをひっぱたかずにいられない照井さん……しゃべるでもなくひたすら攻防をくり返すこの2人に至っては、仲がいいんだか悪いんだかまったくナゾ。だけど、あるよね、こういう関係。
話が合うから親しくなるとは限らない。
「なんでこの人と仲よくなったんだっけ?」と思う相手、あなたにもいるのでは? 結び合う法則は無限にある。
おっと、本作はまったくイイ話系ではありません(笑)。
ただ、たくさんの人のなかからそんな友だちを見つけた高校生たちに、頬がゆるむ瞬間がある……そんな作品だ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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