日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『葛城姫子と下着の午後』
『葛城姫子と下着の午後』
畑田知里 KADOKAWA ¥620+税
(2015年10月15日発売)
葛城姫子が主催する「ランジェリー同好会」の戸を叩くのは、ブラのサイズがあわない等々、下着の悩みを抱えた少女たち……
なんてあらすじからすると下着にまつわる様々なウンチクやトリビアが披露される雑学マンガが想像されるのだけど(そして、そういう部分もなくはないのだけれど)、本作は、女の子がランジェリーをつけたりランジェリーに着替えたりランジェリーのままですごしたり……と、とにかく下着姿の女の子はかわいい! という一点に支えられたマンガだ。
下着コマ率はちょっとたいへんなことになっており、全編これランジェリーという感じ。
けれども、ランジェリーというのは、だれのためでもなく、自分のために着るもの、という姿勢が貫かれているからか、男性である筆者が読んでも不思議と卑猥な印象は受けなかった。
むしろ、ものすごい気合で描きこまれたレースの緻密さと美しさに圧倒されるばかり。その魂で描かれたような部分こそ、描き手の視線がふだん見ているところなのだろう。
そんなわけで、パンチラ、透けブラ等々の見慣れた男性向けお色気イベントのそれとは違う、「女の子の目で見た、かわいい女の子の下着」が見れる、希有なマンガだ。
<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas