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11月4日は広島カープが初めて日本一に輝いた日 『広島カープ誕生物語』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/11/04


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

11月4日は広島カープが初めて日本一に輝いた日。本日読むべきマンガは……。


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『中沢啓治著作集1 広島カープ誕生物語』
中沢啓治 DINO BOX ¥1,600+税


今年のプロ野球日本シリーズはパ・リーグ、福岡ソフトバンクホークスの圧勝で幕をおろした。

ペナントレース終盤、とりわけ注目を集めたのはクライマックスシリーズの出場権を左右するセ・リーグの3位争い。僅差で4位となった広島カープだが、近年の“カープ女子”急増といい何かと話題の的。いち野球ファンとして今もっとも気になるチームである。

1979年の11月4日は、プロ野球日本シリーズで広島カープが近鉄バファローズを破り、初の日本一に輝いた日。
最終戦、9回裏に無死満塁のピンチを招きながら1点差を守りぬき、優勝をもぎとった江夏豊の投球は今も「江夏の21球」と呼ばれ、語り継がれている。

『広島カープ誕生物語』は、『はだしのゲン』で知られる中沢啓治が90年代に発表した長編だ。
終戦ののち、原爆で多くのものを失った主人公の少年たちの日々の潤いは草野球だ。そんなおり、広島にプロ球団ができると知った彼らは大喜び。
しかし、カープは新興球団ゆえに戦力は乏しい……。なにしろ深刻なのは資金不足で、選手たちが野球に思う存分打ちこむための環境さえも整っていない。
主人公たちは、そんな球団の力になろうと、応援に力を入れるばかりでなく、募金集めにも奔走。

広島を、カープを愛する地元民たちの視点から描かれた本作は、1950年の球団創設から1975年のリーグ初優勝までの軌跡をたどる半ノンフィクション的な作品である。
ちなみに主人公の進には夫婦同然の間柄の女性がいるのだが、カープが優勝するまで結婚式を挙げないと宣言するほどのカープ狂だ。
選手たちに活力をもらい、またファンも選手たちを支える……ある種、いちスポーツを超えた球団の存在意義に思い至らせられる。

2015年には戦後70年を記念し、MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島近くの特設広場に、本作の主要登場人物の銅像が建てられている。
お近くの方はぜひ見にいってみてほしい!



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」

単行本情報

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