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『弁天ロックゆう。』第2巻 渡会けいじ 【日刊マンガガイド】

2015/11/28


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『弁天ロックゆう。』


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『弁天ロックゆう。』第2巻
渡会けいじ KADOKAWA ¥580+税
(2015年10月30日発売)


コミュニケーションをとるのは、やっぱり簡単なことじゃない。自分も相手も傷つかないように言葉を探して、気をつかって、空気を読んで……。
苦手な人にしてみたら、まったくもって苦行だ。それならひとりでいいよ。

中3の主人公・いずみは、会話はもちろん、SNSでの文字のやり取りすらできない、という極度にコミュニケーションができない子。唯一の友だち、ノリコとしかやりとりができない。
そんな彼女の前に、芸の神・弁天様が現れた。ほかの人には見えない弁天様から「音を絵としてとらえる」才能を見出されたいずみは、彼女が弾く琵琶の音色を「視た(みた)」。弁天様に見こまれた彼女は、ギターを握らされる。
「お主が求めるならば 和を通じて世界を見てみよ 6本の弦を以って世界(ひと)と繋がれ」

相手とコミュニケーションを取ろうとする時、人によっては考えすぎてしまって、息苦しくなってしまうことがある。
だがしっかりと、自分が夢中なものを表現して形にすれば、相手に意志が伝わるもの。おのずと向こうから寄ってくる。
話すことが苦手ないずみは、音楽で語ればいい。

2巻では、ほかの中学生少女たちもバンドメンバーとして参加する。
人の輪が広がれば、それを壊そうとする人間も出てくる。学園祭でバンド発表をしようとしたいずみとノリコ。ところが彼女らの活動を嫌う人間によって、演奏は阻止されてしまった。
そこで彼女らが選んだのは、「ゲリラライブ」。いくらでも、表現手段はある。

今のところ、いずみはまだまだしゃべるのがうまくはない。
しかし彼女の音に、努力に、熱意に、少しずつ人が集まり始めている。
彼女の演奏の発する熱は、画面にしっかりこめられている。

いずみの演奏が発する音が「視えた」時、読者もまた、いずみとコミュニケーションを取っているのだ。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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