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12月1日は鉄の記念日 『鋼鉄天使くるみ』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/12/01


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

12月1日は鉄の記念日。本日読むべきマンガは……。


KoutetsuTenshiKURUMI_s01

『鋼鉄天使くるみ』第1巻
介錯 角川書店 ¥540+税


1857(安政4)年の12月1日。
質のいい磁鉄鉱がとれる盛岡南部藩・釜石において、鉄鉱石から銑鉄を取りだすための鉄溶高炉、それも日本初とされる洋式高炉に火入れが行われた。
これは同時に日本初の鉄鋼製造の成功でもあり、国内の製鉄が近代化を始めた記念すべきスタートラインとして語り継がれている。
そして1957年、この日付に「鉄の記念日」が制定され、今にいたる。

鉄および鋼は、人類の文明を大きくグレードアップさせた要素として語るに欠かせない存在だ。
その性質と重要性から、実際に鉄ではないものや抽象的なものにまで、硬さ(堅さ)・強さ・確かさを形容するため「鉄(の)~」という言いまわしもよく使われている。鉄人、鉄壁、鉄板、などなど。

なかでも、攻撃力や防御力をもつ機械的なモノに対して「鉄」の字を捧げる例はみなさんいろいろご存じだろう。 古くは「軍艦行進曲」で戦艦の頼もしさを「守るも攻めるも黒鉄(くろがね)の浮かべる城こそ……」と表現しており、『マジンガーZ』アニメ主題歌の歌詞でも「空にそびえるくろがねのしろ……」その用法をふまえている。 ロボットものなら『鉄腕アトム』『鉄人28号』といった大御所が並び……、そうそう、「くろがね」読みだとマンガ『鉄のラインバレル』が今年とうとう完結しましたね。

そうした「鉄」の字を枕にしたマンガのひとつに、介錯の『鋼鉄天使くるみ』がある。
これまたロボット、それも少女型ロボットをメインにした作品だ。

物語当初の舞台は大正時代。
陰陽師の家系に生まれた心優しい少年・神維仲人(かぐら・なかひと)が、帝国軍の極秘開発した「鋼鉄天使」の1体・くるみを見つけて偶然からキスしてしまい、目覚めさせるところから物語は始まる。

鋼鉄天使とは、科学と呪術の融合したテクノロジーでなりたつ人造人間。軍は兵器としての利用をもくろんでいたが、開発者がそれを嫌って逃亡した。
くるみは、自分を起動させた仲人をご主人様と呼んで熱烈に慕い、彼の身を守るため自分の力をふるっていく。

さらに、くるみの妹機にあたる鋼鉄天使のサキとカリンカも登場し、にぎやかなラブコメ展開が作品の大きな柱となる。
鋼鉄天使を生んだ技術のルーツが未来にあったり、パラレルワールドへ舞台が移ったりなど、タテ・ヨコに時空をまたいだSF展開も見どころだ。

「鋼鉄」にして「天使」。
戦闘マシーンにして恋する少女。
壮大なSFにして親しみやすいラブコメ。
ハード&ソフトな印象をかもし出すうえで、「鉄」という語の響きがよくいきている。

なお本作はテレビアニメ版が2作にOVA版、(まさかの)実写ドラマ版まで作られた。
それらをご覧だった方も原作はまた内容や展開が異なるので、あらためて今読むと懐かしさと新鮮さを同時に味わえるだろう。



<文・宮本直毅>
ライター。アニメや漫画、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム30年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7

単行本情報

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