日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『世界八番目の不思議』
『世界八番目の不思議』第1巻
宇島葉 KADOKAWA ¥580+税
(2015年12月14日発売)
ひらたくいえば、“シュール”“奇想”の短編集。
それでいて、どの話も“もしかしたらありそう”と思わせる日常と地続きなムードがいい。
1話は8ページ×2パート。
たとえば第1話で描かれるのは、「ヒト型のメモリーカードリーダー/ライター」だ。商品名「メティス」なる等身大の女性の形のそれをパソコンと接続。
彼女の口にUSBやSDカードやコンパクトフラッシュを差しこんで動作確認する絵はなんだかフェティッシュでドキドキする。
主人公がふと、その口に自分の指をくわえさせてみると、なんと認識されてしまい!?
パソコンの画面に自分のなかのメモリーデータが映しだされて……。
ここまでの話が前半のAパート。Bパートでは、「メティス」を開発した側の人々が描かれるという構造だ。
短いながらに各話、舞台設定が印象的でキャラクターにもグッと心をつかまれる。
冥界の鬼っ娘が5万人ライブしたり、マスコミの寵児となった超能力少女が意外な20代を迎えていたり……思いもしない方向に転がっていくストーリーのめくるめく新鮮さ、これこそマンガを読む快感なのだ!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」