日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『宇宙を駆けるよだか』
『宇宙(そら)を駆けるよだか』第3巻
川端志季 集英社 ¥400+税
(2015年12月25日発売)
初連載作で『このマンガがすごい!2016』オンナ編第5位に輝いた新鋭の話題作が、ついに完結を迎えた。
然子の策略により、「赤月の日」に然子と身体が入れかわってしまったあゆみ。
恋人の水本には距離を置かれてしまうが、あゆみに想いを寄せていたクラスメイト・火賀が支えになってくれて……。
しかし、一度入れかわったら二度ともとの身体に戻れないことを知り、あゆみは打ちのめされる。
一方の然子はといえば、理想の容姿も、憧れていた水本も手に入れたはずなのに満たされずにイライラ。そんな然子を尻目に、水本も何かを画策している様子だが……。
本作が投げかけた「外見さえ美しければ幸せな人生が送れるのか」という問いに対し、登場人物たちが真摯に想いをぶつけあうクライマックスは最高潮の高まり。
しっかり“少女マンガ”でありながら、大きなテーマに挑んだ著者には感服しきり。
「別冊マーガレット」3月号よりスタートする新連載も楽しみだ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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