このマンガがすごい!WEB

一覧へ戻る

2月9日は服の日 『風の夢 花の夢』を読もう! 【きょうのマンガ】

2016/02/09


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

2月9日は服の日。本日読むべきマンガは……。


KAZEnoyumeHANAnoyume_s

『双葉文庫 風の夢 花の夢』
有吉京子 双葉社 ¥581+税


2月9日の今日は服の日。2(ふ)と9(く)の、非常にわかりやすい語呂合わせだ。

全国服飾協会などが1988年に制定したものだが、今日の服の日以外にも11月29日が「いい服の日」、また11月12日は「洋服記念日」と、洋服関係だけでも複数の記念日がある。
衣服――ファッションが私たちの大きな関心事であり、経済や社会にも関わってくる重要なものだという証拠だろう。

さらにファッション業界は、昔から少女たちの憧れの場所でもある。
今日ご紹介するのは、ひとりの女子中学生が、才能も地位もある大人たちが大勢いるファッション業界に乗りこみ、駆けあがっていくストーリーだ。

友だちのかわりに、人気デザイナー・桐生燁子(きりゅう・あきこ)のファッションショーにモデルとして出演した主人公・森本由布子。
ちょっとしたハプニングで飾りが取れてしまった衣装に、ピン1本で美しいドレープ(ひだ飾り)をつけて話題をさらった由布子に、燁子は底知れない彼女の才能を知る。

やがて由布子は、燁子の弟・桐生現世(きりゅう・げんせ)の力添えもあって、ファッションの現場に関わっていくことになる。
その後、紆余曲折を経ながらも、由布子はファッションの世界に食いこんでいき、寝る間を惜しんで好きなデザイン画を描き始める。

夢を叶えはじめた彼女がめざす場所、追い求めるファッションとはいったい……?

まずこのストーリー、由布子がファッション業界で頭角を現すまでの数々のエピソードがすばらしい。
そこには姉弟の確執や家族の問題、夢と現実のギャップなど、説得力のあるテーマがたくさんちりばめられている。
常識的に考えれば、中学生がそのまま業界に乗りこんで、力を発揮するのは難しいはず。しかしそれを違和感なく、自然な流れで表現できるのは、やはり著者の力量だろう。

また何より、服の表現がじつに美しいのがうれしい。
レース、フリル、ドレープ……小さなしわのひとつひとつさえもキラキラと輝いている。
もとより繊細かつ美麗な絵柄を持つ作者の、面目躍如といったところか。

エンディングも明るく、心地よく読み終えることのできる1冊。
今日はファッションの持つ様々な魅力を、この本で心ゆくまで楽しんでみるのはどうだろうか。



<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」

単行本情報

  • 『双葉文庫 風の夢 花の夢』 Amazonで購入
  • 『SWAN 白鳥の祈り 愛蔵版』第… Amazonで購入
  • 『秋田文庫 ヴァルナ・コレク… Amazonで購入

関連するオススメ記事!

アクセスランキング

3月の「このマンガがすごい!」WEBランキング