日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『フードファイタータベル』
『フードファイタータベル』第1巻
うすた京介 集英社 ¥400+税
(2016年1月4日発売)
90年代半ば、『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』でギャグマンガの歴史を塗りかえ、2000年以降も『ピューと吹く!ジャガー』でファンを魅了し続けている、うすた京介の待望の新連載。
タイトルから察せるように、本作のお題はフードファイト、すなわち「大食い」。
さすらいの大食戦士・神無食流(かんなし・たべる)がすべてのフードファイターの聖地「TV凍狂」(って!)を目指す――という、バトルマンガのフォーマットを茶化しまくった設定からして、あいかわらずのうすたワールド!
シュールと呼ぶにはあまりに意味不明でゆるい。がゆえに、ツボにハマればどこまでもハマってゆく、中毒性の高いギャグ。
変人キャラ「タベル」と、彼に巻きこまれるごく普通の青年「原田美味満(はらだ・うまみち)」というコンビも、マサルとフーミン、ジャガーとピヨ彦を彷彿とさせる感じで、安定感あり。
臭い肉まんとか、ロープみたいな太巻きとか、出てくる食べものもいちいちヒドすぎて最高!
全盛期の破壊力を期待すると、まだまだヌルい? と思ってしまいそうだが、まだ第1巻の導入段階ゆえ、今後の展開に期待!
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69