『人魚の王子さま』第1巻
和深ゆあな 徳間書店 \626
(2014年6月20日発売)
勤めていた会社が倒産してしまった小金井真人(30歳)は、絶賛再就職活動中。しかしながら不採用通知連続30連敗を喫し、公園の池でボートに揺られながらたそがれておりました。
そんな真人の前に現れたのは、見目麗しい人魚! 人魚の願いは「人間になって恋をすること」。
彼女の願いをかなえるために、真人は1年分の寿命を差し出すことを決意。晴れて人間になった人魚(命名・サンゴ)と、奇妙な同棲生活に突入するのでありました……。
と、このように、ざっくりと導入を紹介しただけだと「人間になったセクシーなサンゴちゃんとムフフなエロコメが展開されるのだろうな~」と勘違いされる諸兄も多そうだが、そうはいかないのが本作の妙。人間になったサンゴの性別は、なんと“♂”だったのだ!
だからといってBL方面に暴走するわけではない。このサンゴ君、とあるきっかけでセクシー人魚(♀)に戻ってしまうのである。
てなわけで、人間×人魚(♀)+人間×元人魚の人間(♂)という、30を過ぎていまだ童貞の純情青年・真人にとっては、気持ちのやり場や目のやり場に困る日々がスタートすることに。
彼らを取り巻く曲者キャラも続々登場し、「大人のおとぎ話」はますますカオスになっていくようです。
<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。東京都立川市出身。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。
「ドキュメント毎日くん」