日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『U12』
『U12』第2巻
闇川コウ 講談社 ¥620+税
(2016年2月5日発売)
ロリコンは人間ではない!?
本作に出てくる「ロリコン」は、みんな極度に気持ち悪い、クリーチャーのような姿をしている。
正義感あふれる三田琴美と、自分たちの置かれた状況にあらがおうとする千代田かなめ。そのほかあわせて、12人の少女。
突然国家権力にさらわれて、「人権喪失者」になる。
彼女らは、受刑者である「ロリコン」の人権を守るためと称して、なぐさみものにされる運命にある。
「お楽しみ会」という刑務所のイベント。
少女たちは、ロリコン犯罪者のなかから選ばれた人間の前に、放りこまれる。
30分のお楽しみ会中は、何があっても不問。ロリコンは少女をいたぶりつくしていい。
逆に、少女があらがって反撃してもかまわない。
ロリコンの描写があまりに過剰なので、ギャグなのかシリアスなのか、混乱させられる。
そもそも少女から人権を奪っておいて、ロリコン犯罪者に人権をというのも、戸惑ってしまう(これには裏がちゃんとある)。
「ロリコン」というゾンビと、「少女」という生存者のサバイバルだと考えるとわかりやすい。
「ロリコンは人間じゃないから殺しちゃっていいの」というかなめのセリフのとおりなのだ。
12人の少女は、持てる武器は極度に少なく、非力。
ロリコンモンスターはおのおの特徴があり、個性様々な攻撃を仕掛けてくる。
いかにしてそれをさばいて、相手を殺すか。小さき者が必死に生き抜いていく様が、じつに楽しい。
第2巻からは、ロリコンと戦うことに慣れており、次々と犯罪者を殺せる一条美羽が登場。
形勢が一気に逆転するかに見えるが、どうも彼女、言動が怪しい。
なぜ刑務所ができたのか、という裏事情も含めて、少女たちの行く末が気になる。
いっそ12人で力をあわせて、作中の国を転覆させちゃうくらい、戦い抜いてほしい。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」