365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
3月11日は東日本大震災が起きた日。本日読むべきマンガは……。
『サバイバル ~少年Sの記録~』第1巻
さいとう・たかを(作) 宮川輝(画) リイド社 ¥590+税
3月11日は東日本大震災が起きた日。
今年ではや5年を数えるが、被災地ではいまだに平穏な生活を取り戻していない方が多いことに胸が痛む。
「震災前・震災後」という言葉は日常的に使われるようになり、幸いにして大きな被害を受けなかった人々にとっても、大きく人生観を変えられた出来事となったのは間違いない。
我々は東日本大震災と同レベル、あるいはそれ以上の地震が起こる可能性があるという事実からも目を背けることはできない。
考えたくはないけれど、地震はどこにいても避けようがないものだ。その時、いかにして生き抜くか。日用品の備えに加え、サバイバルの知恵を学んでおくことは日本人の必須事項といえるだろう。
本作は、70年代後半に発表された作品『サバイバル』(さいとう・たかを)の現代版リメイク作品である。
主人公の少年は友だちと洞窟を探検中に大地震に見舞われる。なんとか洞窟から脱出して助かったものの、友人は見つからず。
さらに、彼の立つ山はさっきまではなかったはずの海に囲まれ、陸の孤島と化していた。
地震によって周囲の陸は水没してしまっていたのだ。人っ子ひとり見当たらない山のなか、少年は生きのびることができるのか!?
よくわからない木の実を食べておなかをこわし、1匹の魚を捕るのに多大な時間を費やし……捕ったはいいが魚をさばいたこともないから四苦八苦。
大枠の設定は70年代版『サバイバル』と同じだが、ところどころに現代風アレンジが施されている。少年が動画サイトの記憶を頼りに、乾電池とガムの包み紙で火を起こすシーンは食い入るように見つめてしまった。
助言をしてくれる人も希望もないまったくの孤独のなか、失敗を繰りかえしながら生きるすべを身につけていく姿は感動的だ。スマホを手に友だちとのライン履歴を懐かしくながめるシーンは泣ける!!
近づく冬をしのぐための住居、食糧確保など課題は次々に押しよせる。そして害獣との戦いも……。
「いざというとき、どうする?」の答えが満載、今こそ読んでおきたい作品だ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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