日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『駄能力JK成毛川さん』
『駄能力JK成毛川さん』第1巻
菅森コウ 小学館 ¥630+税
(2016年2月12日発売)
流れるような黒髪とナイスバディ、クラスの学級委員長もつとめる才色兼備な成毛川(なるもがわ)さん……だが花も恥じらう高校2年生な彼女の正体は、「妖怪・ちんげちらし」だったのだ!!
妖怪・ちんげちらし! それは人の陰毛を集めては、人の目につく場所に再配置するという日本の妖怪!
本の間、パソコンモニタの上、「なんでこんなところにちんげが!?」と驚くようなことがあれば、きっとそれは妖怪・ちんげちらしのしわざに違いない!
はたして成毛川さんは、愛する男子生徒・里中くんのちんげをゲットできるのか!? 里中くんの後ろに黒い影!!
……というわけで「ちんげ」を瞬間移動させること……というあまりに駄能力すぎる能力しか持たない女子高生が、恋と陰毛集めに暴走する、大変残念なラブコメディが本作。
ちなみに脇役にも、家電のリモコンを隠す「妖怪・リモコン隠し」な女の子とか、その名のとおりの妖怪・雨女などしょうもない能力の持ち主が並ぶ。
驚くのは出オチの一発ネタに思えた「ちんげ集め」ネタで、毎回ちゃんと物語を作れている点で、里中くんを中心とした三角(四角)関係が展開していく。
こんなネタなのに、ちゃんと恋愛ラブコメの甘酸っぱさもそなえた驚きの1冊である。
<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas