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『デカダン! -デザイン科男子の受難-』第2巻 高嶋育 【日刊マンガガイド】

2016/03/23


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『デカダン! -デザイン科男子の受難-』


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『デカダン! -デザイン科男子の受難-』第2巻
高嶋育 新潮社 ¥560+税
(2016年2月9日発売)


高校生活。教室にいる男子は40人中5人だけ。
「女子がいっぱいでうらやましい!」「モテモテでしょ?」
……なんて考えるのは愚かである。

『デカダン! ―デザイン科男子の受難― 』は、そんな超・女社会で高校生活を送る男子5人の日常コメディだ。

強面だが面倒見のいい男子委員長・鬼塚銀之介、チャラい見た目だが中身はBLを愛する腐男子の五味愛助、雑誌でモデルをしている女装男子の早乙女ユウ、一見すると優等生だが元ヤンの毒島聖夜(どくしま・のえる)、常識はずれでどこか想像の世界に生きている不思議男子の芥川一二三(あくたがわ・ひふみ)。

強烈な女子に圧倒される男子5人の受難の日々は、笑えるというよりほほえましい。個性はバラバラ、いっさいのまとまりはなし。
独自路線を突き進む5人だが、名もなきクラスの女子たちもなかなかのもの。むしろ彼女たちのほうがアクが強いのではなかろうか。

いろいろな印刷所の香りが好きといって印刷所を嗅ぎ比べする女子、「巫女になる」と呪術と唱える女子、口のなかに拳を入れて見せる女子……。
この作品のなかではあくまで主人公たちを取り囲むキャラクターのはずなのに、彼女たちの言動が脳裏に焼きついて離れない。

著者の高嶋育自身もデザイン系の高校・専門学校にいたことがあり、デザイン系の学校にいた人にとってはあるあるネタも多いはず。
鬼塚がカラオケのメニュー表を見て「72dpiの画像をそのまま印刷したな」と考えるコマはデザイン科出身にはまさに「あるある」だろう。

クラスの女子に翻弄されつつも、授業に課題に行事に、と忙しい高校生活を過ごすうち5人の間にはゆるやかに友情が育っている。
この浮世離れした楽しげな高校生活に、ページを開いている間はどっぷりつかってみてほしい。



<文・川俣綾加>
フリーライター、福岡出身。
デザイン・マンガ・アニメ関連の紙媒体・ウェブや、「マンガナイト」などで活動中。
著書に『ビジュアルとキャッチで魅せるPOPの見本帳』、写真集『小雪の怒ってなどいない!!』(岡田モフリシャス名義)。
ブログ「自分です。」

単行本情報

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