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『ウルトラマン超闘士激伝 新章』第1巻 瑳川竜(作) 栗原仁(画) 【日刊マンガガイド】

2016/04/09


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ウルトラマン超闘士激伝 新章』


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『ウルトラマン超闘士激伝 新章』第1巻
瑳川竜(作) 栗原仁(画) 秋田書店 ¥650+税
(2016年1年20日発売)


『ウルトラマン超闘士激伝』の連載終了から約17年の時を経て、WEB上でスタートした新章。
主人公は新世代のウルトラマンであるメビウスにバトンタッチされたが、王道のバトルマンガとしての魅力と、マニアックな小ネタは変わらず健在。かつて熱狂した世代にとっては、まさに「感涙モノ」の新章だったわけだが、それがついに単行本としてまとまったことは感慨深いことこのうえない。

ご存じない方のために説明しておくと、もともと本作は「カードダス」など玩具と連動して誕生した企画で、キャラクターデザインは当時流行していたSDガンダムなどの影響が色濃く見られる。……という成り立ちだけ聞くと、なんとなくユル~いものを想像してしまう人もいるかもしれないが、それは「とんでもない誤解」である。

まず、原作者としてクレジットされている瑳川竜(さがわ・りゅう)。
じつはこれ、『ダイの大冒険』の原作や、近年では『仮面ライダーW(ダブル)』『獣電戦隊キョウリュウジャー』など特撮作品の脚本でも知られる、あの三条陸の別名義。
それだけに、本作はかつてのジャンプ黄金期を支えたバトルトーナメント形式をベースにしつつ、師弟愛や友情の熱い描写がマジで炸裂! 特に『ダイの大冒険』に心おどらせ、今でもアバン先生やポップやクロコダインのことを思い出すとうっすら涙が浮かんでしまうような人には、全力でオススメである。

さらにファンの間では周知のことだが、三条陸といえば円谷作品のファンとしても筋金入りのお方。
そのマニアックすぎる知識とクールなロジックの融合から紡ぎ出される本作は、ウルトラマンシリーズのディープなファンであればあるほど、キャラクターのチョイスや関係性に「うわー! こう来たか!!」と感激すること間違いなし。

新章では『ウルトラマン80』に登場したガルタン大王が予想外とも言える存在感を見せるあたり、その傾向が顕著と言えるだろう。

そして、栗原仁の作画によるメインのバトルパートはもちろん、本作の名物とも言える観客席のモブ描写のマニアックさも絶好調。
そんなわけで本作は、前作の直撃世代はもちろんのこと、不幸にもSD文化からはずれていたので未読だったり、勝手な先入観で食わず嫌いだった人にも、ぜひ読んでいただきたい一品。

普遍的な少年マンガとしてだれにでも楽しめる内容ではあるが、とりわけ円谷ファンであることを自認しながら未読であるような人には、「これ、読まないと損してますからね!」と断言しておきたい。



<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。

単行本情報

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