365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
4月25日は拾得物の日。本日読むべきマンガは……。
『猫なんかよんでもこない。』
杉作 実業之日本社 ¥900+税
予測不可能な出会いが人生を変えることがある。
人に出会うことはもちろん、何かを偶然手にするという出会いも同様だ。
1980年の4月25日、銀座で男性が1億円を拾い届け出たが持ち主が現われず、1億円がそのまま男性のものとなった。
この男性のその後の人生を考えると、そこには何かしらのドラマが生まれたのではと想像が膨らむ。
この日が「拾得物の日」となったのも、当時は大きく報道され世間はおおいに盛りあがったのではないだろうか。
人、モノだけではない。猫との出会いも、人生を変えることがある。
そうした出会いを描いたのが『猫なんかよんでもこない。』だ。
うだつのあがらないプロボクサーのミツオは、漫画家の兄が拾ってきた子猫のチン子とクロの世話をすることに。
もともと猫が好きなわけでもなく、自らのぞんだわけではない猫たちとの生活に翻弄されるが、ともに生活するうちに猫たちにもミツオにも変化が起き始める。
そんなおり、ミツオは試合中のケガによってプロボクサーを続けることができなくなってしまう。失意のどん底のなか彼は、新たな道を見つけ出すが……。
この物語は、原作者・杉作のエッセイコミックでもある。チン子とクロも実際に杉作が世話をしていた猫だ。
そして杉作が現在漫画家であることを考えると、作中でミツオがどんな道を選択したかはおわかりだろう。
兄が猫を拾ってきたことがすべての始まり。この世の片隅に起きた小さな出会いだが、結果として、この出会いがひとりの人生を変えたうえにたくさんの人々の胸に焼きついている。
偶然手にしたものから起きる変化。
おそらくそれはだれにでも起きること/起きたこと、でもあるのだ。
<文・川俣綾加>
フリーライター、福岡出身。
デザイン・マンガ・アニメ関連の紙媒体・ウェブや、「マンガナイト」などで活動中。
著書に『ビジュアルとキャッチで魅せるPOPの見本帳』、写真集『小雪の怒ってなどいない!!』(岡田モフリシャス名義)。
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