日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『女なのでしょうがない』
『女なのでしょうがない』第4巻
近由子 講談社 ¥429+税
(2016年4月8日発売)
上司からは「だから女はダメなんだ」と言われ、なればと仕事に打ちこめば母親からは「結婚は? 子どもは?」との催促が飛んでくる……信じられるのは、貯金通帳の残高だけ……という31歳の独身女性。
まわりの同僚は、自分には巨乳しか価値がないと男に媚びて生きる道を選んでいたり、女として「不可」な自分と少女マンガのような恋にあこがれる自分の間で苦しんでいたり……と現代社会を生きる女性の“現実”を描いたのが本作。
「女なのでしょうがない」のひと言ではとうてい受け入れがたい、けれど「女なのでしょうがない」という言葉で受け入れるほかない……。
「子宮も胃も頭も…心も…っ」「全部痛いっ」という第1巻のセリフが本作をよく表していると思う。
当然、物語的にスカッとするような展開はない。
ぐるぐるとモヤモヤを抱え、一進一退を繰りかえし、本当に本当に少しずつ前に進んでいく。
そんな等身大の姿に共感させられる作品だ。ぜひ、男性にも読んでほしい。
現代日本で女性が生きることが、ここまで大変だなんて、なかなか理解できる機会はないと思うので。
<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas