日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『銀河英雄伝説』
『銀河英雄伝説』第2巻
田中芳樹(作) 藤崎竜(画) 集英社 ¥514+税
(2016年5月19日発売)
日本SFの金字塔・田中芳樹『銀河英雄伝説』を、『封神演義』の藤崎竜がコミカライズする……という話を最初に聞いたときは、意外な組み合わせに「えっ!」と思ったのだが、実際に読んでみると、これが想像以上にハマっていた。
中国の古典文学をSF的なテイストで描きだしたフジリュー版『封神演義』と、はるか未来を舞台にしたSFでありながら、皇帝や貴族なんてものが存在する『銀河英雄伝説』の世界観というのは、じつは裏表だったのかもしれない。
さて、そんなフジリュー版『銀河英雄伝説』も2巻目。
醜悪な皇帝に最愛の姉を奪われ、銀河を手にして姉を取り戻すと誓った若き覇王・ラインハルトの青春時代を描いてきた本作だが、2巻目ではついに、彼の最大のライバル、ヤン・ウェンリーが登場する。
いまだ原作のはじまりにすらたどりついておらず、2人の出会いはまだまだ先になりそうだが、人間味豊かにアレンジされた彼らの姿を見ていると、不敗の魔術師と常勝の天才、2人の対決の時が楽しみでならない。
<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas