365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
6月15日は安保闘争が起こった日。本日読むべきマンガは……。
『光る風』
山上たつひこ フリースタイル ¥1,900+税
昨年(2015年)、集団的自衛権の行使容認を含む安保法案が可決されるに至り、国内で多くの激しい論争、デモを含む反対運動が起こったのは記憶に新しい。
とりわけこれからの日本を担う若者たちが決起したことにも、あらためてことの重大さを感じずにいられない。
そしてこれは1960年、「日米安保条約」が強行採決された時の状況に酷似しているともいわれるが……。
1960(昭和35)年6月15日は、安保条約批准を阻むため、約7000人もの学生のデモ隊が国会議事堂に突入した日である。
警官隊と激しく衝突し、東大生だった樺美智子が死亡したことでも知られている。
『光る風』は、それから10年後、「70年代安保闘争」の嵐吹き荒れるなか「週刊少年マガジン」に連載された社会派サスペンス。
某国との安保条約が締結されたのち、急速に軍事化する日本を描いた問題作だ。権力をふりかざす憲兵が我が物顔で乱暴を働き、若者たちは続々と徴兵されていく……。
奇病に冒された村の裏にある軍事機密、差別、革命をもくろむ集団etc.……様々な要素を盛りこみながら、青年の目を通して現実の危うさをまざまざと見せつける。
のちにギャグマンガ『がきデカ』で大ヒットを飛ばした山上たつひこの、“もうひとつの過激さ”にぜひ触れてほしい。
本作こそは「もし、現実にこんなことが起こったら?」を生々しく追究した警告の書なのである!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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