日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい！WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー！

今回紹介するのは、『マドンナはガラスケースの中』

『マドンナはガラスケースの中』第2巻
スガワラエスコ 実業之日本社 ￥680+税
（2016年5月20日発売）

爬虫類にしか性的興奮を覚えられなかった32歳童貞の裕也が、魔性の12歳・由莉にピュアなハートを振りまわされる物語も無事完結。超ハッピーエンドですよ。

男心を刺激しまくるJS（女子小学生）ヒロインという部分ばかりが語られがちな本作。けれど裕也と由莉が少しずつ歩み寄っていく様子は、20歳差という犯罪臭すら漂う設定にもかかわらず、どこかかわいらしい。まるで初恋ものを読んでいるようだが、それもそのはず。これまで爬虫類にしか欲情してこなかった裕也にとって、由莉への想いは初恋そのものなのだ。

1巻では大人顔負けの魔性の部分が大きくクローズアップされていた由莉だが、2巻では母親や友人との関係に悩む歳相応の弱さが描かれた。
その弱さを隠すため心に壁をつくる由莉と、彼女への気持ちを隠すため父親役を演じ続ける裕也。

そんな2人が本音で語りあったクライマックスで、由莉が見せた泣き顔が必見だ。
多くの読者をとりこにした「魔性のJS」からは程遠いが、十分すぎるほど魅力的で、この1コマのためだけでも、本書を買う価値がある。

あらすじだけ聞けば犯罪的な匂いがプンプンする本作だが、読後感は爽やかだ。ぜひ多くの読者に手にとってほしい。

＜文・籠生堅太＞
なんでも屋。イリーガルなお仕事以外は、だいたいなんでもやります。読むと元気になれるマンガが好きです。
Twitter：@kagoiki