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『おそ松さん』 第1巻 赤塚不二夫(作)シタラマサコ(画) おそ松さん製作委員会(監修)【日刊マンガガイド】

2016/06/23


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『おそ松さん』


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『おそ松さん』第1巻
赤塚不二夫(作)シタラマサコ(画)おそ松さん製作委員会(監修)集英社 ¥420+税
(2016年5月25日発売)


伝説の6つ子が帰ってきた! そろって童貞クズニートとして……。

赤塚不二夫生誕80周年を記念して昨年10月から今年3月まで放送されたTVアニメ『おそ松さん』
昭和を席巻した『おそ松くん』の6つ子が成長した姿を描き大ヒットを飛ばした。
厚生労働省や侍ジャパンとコラボし、『anan』の表紙を飾るなど、この人気ぶりはもはや社会現象と言っても過言ではない。そんな彼らが、今度は少女マンガを舞台に全力バタンキュー!

第1話は松野家に空き巣が侵入し、次々現れる同じ顔に驚くという展開。
あれ、この話どこかで……?
そう、これは赤塚不二夫が描いた『おそ松くん』第1話と同じネタ。
冒頭で6つ子が順番に母親の前に現れおやつをねだるシーンも原作のオマージュだ。
読み進めると「イヤミが“シェー”に行きつくまで約2年かかった」といったトリビアも登場。
原作へのリスペクトがひしひし伝わってくる。

著者は個性豊かなギャルたちのおしゃべりギャグマンガ『ギャルジャポン』で知られるシタラマサコ。彼女が描く『おそ松さん』は軽いタッチでかわいらしく安定感抜群。まさに「バイブス上がる」!

アニメ版と同じくのんべんだらりとした日常を送る6つ子だが、“カラ松の服を借りて町へ出るトド松”、“宇宙人にさらわれ十四松の手を引いて逃げる一松”など、ファンにはたまらないエピソードが満載。ついつい「クズかわいい6つ子のドタバタ劇をながめて一生を終えたい……。」なんて思ってしまう。セラヴィ!

過激な下ネタや「カラ松事変」に代表される“エグい”エピソード満載だったアニメ版『おそ松さん』に比べて、毒っ気なくポップに仕上がっているのも本作の特徴。
万人受けする内容で、子どもや『おそ松くん』を読んでいた世代にも安心しておすすめできる。

ちなみに本作、あまりの人気に売り切れる書店が続出で、書店員が「問い合わせをたくさんいただくんですけど、もう在庫がなくて……。」と苦笑いするほど。
とどまることを知らない『おそ松さん』フィーバー。
こんな状況、アニメ版1話で「昭和な僕たちが平成で人気出るかなぁ……。」と心配していたチョロ松に言ったら信じるだろうか。
おめでとう、君たちはりっぱに赤塚ヒーローとして平成の世に返り咲いたよ!

“松ロス”に悩むみなさんも、赤塚不二夫の原作が好きなみなさんも、「なんだか人気みたいだけどどうしてなの?」と疑問に思っているみなさんも、ぜひ本作を手に取って。
肩の力がゆるゆる抜けて、笑いがこみ上げてくること間違いなし。

さぁさぁ、マンガ版も、「よろしくおあがりおそ松さん」!



飛田恵美子(東京03製作)
社会起業家へのインタビューを本業とする編集ライター。でも、一番好きなのは漫画を読むこと! 日本橋のシェアオフィスで「パルプンテ」という名のゆるい食事会を開いています。
不確実性の海へ飛びこもう。
個人ウェブサイト『言祝ぐ

単行本情報

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