日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『池袋レインボー劇場』
『池袋レインボー劇場』 第1巻
えりちん 白泉社 ¥600+税
(2016年6月29日発売)
すっかり人気ジャンルとして定着した“漫画家マンガ”のなかでもひときわ異彩を放った『描かないマンガ家』のえりちん、新作の舞台はストリップ劇場だ−!
厳格な祖母に育てられ、心を閉ざして生きていたユキは18歳になったばかりのある日、家出を決行する。遠距離恋愛していた先輩のアパートを訪ねて……大きなことは望まない、愛する人とささやかな幸せをつむいでいけたら――そう思っていたのだが!?
行き場をなくしたユキは、たったひとり、路頭に迷うはめに。
高校も卒業していない、身元を保証する人もない少女がこれからどうやって生きていくのか。
しかし、ユキには運命的な出会いが待っていた。
強くしなやかな肉体を持った女性の美しい舞い――それを目の当たりにしたとき、ユキは思い出すのだ。夢も希望もない自分に、ひとつだけ大好きなものがあったことを!
失われつつあるストリップ劇場という“オトナの遊び場”の魅力を描ききろうという姿勢もしっかりと伝わってくる意欲作。『描かないマンガ家』同様に、主人公が心の奥底にしまった本音や、内面の疑問や矛盾とがっちり向きあう作品となりそうだ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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