日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『暗殺教室』
『暗殺教室』 第21巻
松井優征 集英社 ¥400+税
(2016年7月4日発売)
2012年に「週刊少年ジャンプ」で連載が開始され、「このマンガがすごい! 2014」オトコ編で第1位に輝いた『暗殺教室』も、ついに最終巻を迎えた。
長い物語を締めくくるには、それにふさわしいエピローグが必要となる。
とりわけ本作は、物語の性質上、殺せんせーが3年E組の生徒たちに与えた影響がどのようなかたちに結実したかが、きわめて重要な意味あいを持つ。
実際のところ、物語本編は前巻(第20巻)でエンディングを迎えている。そのため今巻に収録されている第178話、第179話、最終話の3本は、物語の後日譚となっている。
渚や茅野やカルマが、どのように成長したのか。彼らは将来どんな道に進んでいるのか。個人的には出席番号21番の不破優月(ニックネームは「このマンガがすごい!!」)の行く末が気になるところだが……。
成長後の生徒たちの姿を見ることで、殺せんせーの「教育の成果」を、そこに認めることができるわけである。
生徒のなかに先生の姿を見つけることで、われわれはそこに教師と生徒のあるべき理想型を発見できるだろう。
また、今巻には4話構成の番外編や、『暗殺教室』直前に描かれた読切作品も収録されている。そのためこの21巻は、これまで『暗殺教室』を支えてきた読者に対する作者からのサービス巻ともいえる。
今巻のサブタイトルどおりに、「ありがとうの時間」といったところか。
卒業式は終わったけど、謝恩会が用意されていた。そんなエピローグの1冊である。
<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama