日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『コンビニお嬢さま』
『コンビニお嬢さま』 第1巻
松本明澄 講談社 ¥580+税
(2016年7月15日発売)
コンビニごはんの利点は「買ってすぐ食べられる」ところ。味が濃い目なところ。
このマンガ自体は、いいところのお嬢様がコンビニめしを食べるコメディ……なのだが、ただ食べるだけじゃない。コンビニごはんを素材として、まったく別の料理を、手間暇かけて作りあげてしまう、創作料理マンガだ。
根っからのお嬢様・兎月翠里(うづき・みどり)は、「コンビニで買い食い」するのが夢だ。
チキンやポテトを買って、路上で友だちとむしゃむしゃ食べたい。
自分が経験したことのない「娯楽」だ。
しかし親や学校にバレたらたいへんなことになってしまう。
かくして、こそこそと変装をしてコンビニに侵入、忍者のように肉まんやアメリカンドッグを買って、風呂敷に包んで寮に帰る。なのにいざ食べようとすると、友人たちに出会ってしまって食べるタイミングをいつも逸してしまう。
涙を力に、冷めてしまったコンビニごはんを持ち前の料理スキルで素敵にアレンジ。
さすがお嬢様、しつけられているだけあって料理にいっさい手抜きがない。
冷えてしまった肉まん。残念な状況だ。でもあきらめない。
野菜を切って煮こむ、肉まんにはごま油を塗って七輪であぶる。
ごまと焼き海苔をそえて「あんかけ肉まん」を作ってしまう。
パリパリの皮! 出汁のしみこんだ内側!
未知のものに向けて「ちょっと冒険をする」お嬢様のワクワク感があふれる作品。
だれにもいえない秘密であることは、料理のおいしさに拍車をかける。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」