365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

8月1日は世界母乳の日。本日読むべきマンガは……。

『聖痕のクェイサー』第1巻
吉野弘幸（作） 佐藤健悦（画） 秋田書店 ￥552+税

生まれたばかりの赤ん坊の命を守る。
そのためにもっとも費用対効果が高い営みとは何か？
候補はいくつかあるだろうが、今から26年前、世界保健機関(WHO)とユニセフが出した答えはこうだ。

いわく、生後6カ月は母乳をのませて育てること。

母乳には、赤ちゃんに免疫を与える働きがある。
生後すぐ母乳をもらって育った場合、もらわなかった時に比べると生後半年の生存率が14倍も高くなるといわれている（→参考資料）。
完全母乳育児は、いわば“天然の予防接種”なのだ。
のちのちの人生の医療コストまで考えれば、母乳で育つ新生児の割合が増えるほど、家庭レベルどころか国家経済レベルでも負担の軽減が望めることになる。

そこで1990年、母乳育児が難しい家庭への支援が必要だとWHOとユニセフが「イノチェンティ宣言」を発表。
これを記念して8月1日に「世界母乳の日」が制定されたのである。

さて、マンガの世界で、母乳をメイン題材にした作品というと何があるだろうか。
成人向けなら見つかるだろうが、商業一般ジャンルとなると……。

と思ったら、そうそう、あるじゃないですか、『聖痕のクェイサー』が！

本作はアニメ『舞-HiME』、『舞-乙HiME』のコミカライズでタッグを組んだ、吉野弘幸（作）・佐藤健悦（画）のオリジナル作品。
ハリストス（キリスト）の奇蹟の秘法を伝える聖像の謎をめぐり、鉄、銅、金など元素を司る錬金士「クェイサー」たちが死闘をくりひろげる伝奇アクション、というのが大枠だ。

しかし、アクションと同じかそれ以上の見どころが、戦いの前準備のシーンにある。
女性のおっぱいから生体エネルギー「聖乳（ソーマ）」を吸いとって力を補給するというギミックにより、シリアスでドラマチックでありながらおもしろエロい絵ヅラが頻発するのだ。
簡単にいうと「めっちゃまじめな顔しておっぱいチューチュー吸ってパワーアップするバトルマンガ」なのである。

そんな趣向なので、「チャンピオンRED」で2006年に連載開始した当初、作者たちもアニメ化は想定していなかったらしい。
それが、よりにもよってというか、金子ひらく監督＆うのまことキャラデザ（第1期）というおっぱいアニメの大御所が手がけて2010年にテレビアニメ化。
ヒロインひとりひとり、乳房から乳首まできめ細かく個性を描きわけた執念のおっぱい描写が視聴者を襲い、いまだに語り草となっている（いや、やりすぎて随所に放送規制が入りまくったので逆にある意味おっぱいレスなアニメでもあったんですが……！）。

赤ちゃんの身体を強くする母乳の大切さを訴える記念日にかけて、おっぱいを吸って強くなるマンガを読んでみるというのはどうでしょうか。

＜文・宮本直毅＞
ライター。アニメや漫画、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム30年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論』（総合科学出版）。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7