365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
8月19日は佐藤栄作が沖縄を訪問した日。本日読むべきマンガは……。
『ハイサイ!甲子園 ~島人が燃えた1958年~』
市田実(作) 高田靖彦(画) 小学館 ¥905+税
1965(昭和40)年の8月19日、時の首相、佐藤栄作が日本の首相としては戦後初めて沖縄を訪問した。
沖縄が米軍の統治下に置かれて20年、沖縄県民は様々な思いをかかえながらこの日を迎えたことであろう。
首相はこの日の演説で、米国大統領との会談においてできるだけ早い沖縄返還を求める要望をしたことを伝えている。
1972(昭和47)年に本土復帰が果たされたあとも……いまだ根深い問題が残されているのは周知のとおりだが。
さて、ここで紹介するのは、米軍統治下の沖縄の高校球児たちの物語。
1958(昭和33)年、戦後初めて「沖縄代表」として甲子園初出場を果たした沖縄県立首里高校野球部をモデルとした作品である。
そもそも戦後に再開された夏の甲子園大会地区予選では、沖縄の高校は九州の地区大会に参加していた。
1958年は40回を数える記念大会であるため、特別に “46都道府県”に並び、沖縄県単独の予選大会が開かれたのである。
本作は発表当時の2008(平成20)年、新聞記者がこの時甲子園の土を踏んだかつての球児を訪ねるというイントロダクションから始まる。
1958年の春。首里高校野球部員4人は、日本高校野球連盟の招待を受けて春のセンバツ大会を観戦。早稲田実業の王貞治らが活躍する姿に刺激を受ける。もっとレベルの高い野球を目指したい、本気で甲子園を目指したい……!
しかし沖縄の環境は、経済的にも精神的にも本土とは大きな差があった。そんななかで、いかに彼らは意識を変えていったのか。
野球を通して、戦後の沖縄の苦闘の歴史を伝える名作。
過去と、そして現在の沖縄を考えながら――この季節にこそ読みかえしたい。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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