日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『スティーブ・ジョブズ』
『スティーブ・ジョブズ』 第5巻
ウォルター・アイザックソン(作) ヤマザキマリ(画) 講談社 ¥619+税
(2016年8月12日発売)
ウォルター・アイザックソンが著した世界的なベストセラー『スティーブ・ジョブズ』を『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリ氏がマンガ化した本作。
いまや伝説と化している、ジョブズの破天荒で問題だらけの言動、常人とは違う価値観で生きる天才ゆえの孤独が、ギャグをいっさい排したニュートラルなタッチで味わい深く描きだされてゆく。
幼少期から青年期、そしてアップル創設へ……。
基本的には原作の流れに忠実に描かれているのだが、いわゆる「偉人伝」ではなく、どこかシュールな味わいの「奇人・変人伝」となっているのは、さすがヤマザキマリ。
彼女の人間(変人)への深い愛と好奇心、鋭く細やかな洞察力と分析癖を感じずにいられない!
本巻末では、アップルに舞い戻ったジョブズがついにiMacを発売。
次巻以降、iPhoneやiPadなど、世界を変えたジョブズの快進撃が描かれてゆくことになりそう。
孤高の天才の目ざしていた「世界」とは、はたしてどんなものだったのか?
アップルファンならずとも魅了される、骨太な評伝マンガだ。
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69