日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『終末のハーレム』
『終末のハーレム』 第1巻
LINK(作) 宵野コタロー(画) 集英社 ¥580+税
(2016年9月2日発売)
ある致死性の病気にかかってしまった水原怜人(れいと)。彼の病気は今の医学では治せない。
そのため1度コールドスリープさせ、未来の医療に託すことにした。
数年後、彼は目覚めた。そこは男性のみが感染するMKウイルスにより、女性しか生き残っていない、荒涼とした世界だった。貴重な男性である彼は、未来の女性に「この世界に残された女性たちと子作りして頂きたい」と言われる。
ほぼ女性しか出てこないエロティックSF。
選択肢は2つ。
かつて愛していた女性のために操を立てるか。
目の前にあふれる数多くの女性とセックスをして地球を救うか。
「ぼく」と、愛する「きみ」の選択が左右する物語のジャンルを、かつて「セカイ系」と呼んでいたことがある。この作品もセカイ系の影響を受けているのが端々から見える。
地球を救うためなら、別に種馬となって損することはない。愛する人が死ぬわけじゃないんだから。
けれど彼の童貞力はそれを許さないらしく、怜人の目にはひとりの女性しか見えていない。
数十億人の女性が目の前にいようと、据え膳だろうと、回避する。
「ぼく」と「きみ」の存在こそが、世界そのものと同じくらい重要なのだ。
また、このエロティックな世界を納得させるロジックがうまい。
科学力が衰退してきたため、人工授精ではうまく胚形成させられず、性交が必要。
女性たちには「子作り相手として選べるか」のアンケートを取っている。
怜人を選んだ人のみを受胎候補にしているため、ちゃんと人権は守られている。
愛する人の行方といい、不明な点が多い。
これらの謎をどういう理屈で組み立て、解いていくのかとても気になるところ。
なお電子書籍版は「セミカラー」となっており、エロシーンだけカラーです。オトク。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」