日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『trash.』
『trash.』 第9巻
山本賢治(作) D.P(画) 秋田書店 ¥562+税
(2016年9月20日発売)
エログロアクションピカレスクロマン、ついに第9巻。
今回も女の子たちが、ひどいめにあいまくるので、楽しみにしていた方はご安心ください。
当たると体内で爆発する弾丸を利用する凄腕ガンマン、るしあ。両手にトマホークを構えて相手を真っ二つに切り裂くバーサーカー、マイン。
2人はヤクザを仕切る女子高生・許斐美能子(このみ・みのこ)に雇われた殺し屋。たまたま殺しに入った現場で、捕まっていた幼い少年ひろしを見つける。
ひろしは見た目はただの子ども。しかし彼の血液は、触れることでどんなに身体をぐちゃぐちゃにされようと、細胞再生が活性化されてたちどころに治る、というとんでもないものだった。
研究体である彼をめぐり、闇社会の住人たちが殺しあいを始める。
今までるしあとマインは、異様な殺し屋と戦い続けてきた。髪の毛ですべてを切り裂く女性、対戦車ライフルを扱う少女、洗脳の名手、生きた人間を貪り食う子ども、全身に針を仕込んだ男。
第9巻の相手は、今までで最悪。人間では決してかなわない能力の持ち主なうえに、2人が絶対戦いたくなかった相手だ。
このマンガでの殺しあいはだいたい、るしあとマインが掃討して、一件落着を迎える。関わった人間たちはみな、決して幸せになれない。
「無理なのよ人助けなんて 私達にできるのは人殺しだけ……」
第4巻のセリフだ。これは第9巻の戦いでもそのまま当てはまる。
マインは困っている人への情が厚く、少しでも助けたい、と願っている。
けれども、助けようと助けまいと、その先にあるのは悲劇だけ。
第9巻からは、原作者の山本賢治によると「終末エピソード」だそうだ。2人と似たような、銃と斧を使う別のコンビも登場、激戦の予感も感じさせられる。
クライマックスに向けて、るしあとマインの目の前に広がるであろう惨劇を、しっかりと見届けたい。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」