日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『初恋の世界』
『初恋の世界』 第1巻
西炯子 小学館 ¥429+税
(2016年9月9日発売)
『姉の結婚』、 『娚の一生』、『カツカレーの日』といった作品群でアラフォー・アラサー女性の恋愛、微妙な心の揺れを描き、共感を集めている西炯子の最新作。
こだわりのカフェの店長を務めていた小松薫(40歳・独身)は突然、故郷の角島の店舗へ転勤を命じられる。その店はなんと押しかけバイトの小鳥遊(たかなし)により、まったく違うコンセプトの店となり、地元のおっちゃんおばちゃんらでにぎわっていた――。
素材は悪くないのに自分にいまいち自信がなくて、しっかり者ゆえに男に頼れない負けキャラの妙齢女性と、強引でぶっきらぼうだが不思議な魅力をもつ男性――てな構図は、西作品の定番と化しつつあるが、ファンにとってはその予定調和も含めて「安心してドキドキできる」西作品の魅力なのだろう。
人生を揺るがすほどの大恋愛をしたことがないまま40を迎え、地元の友人との再会によって、仕事や結婚も含めた「これからの人生」についてあらためて考えてしまう薫に、謎の男・小鳥遊が今後、どのように絡んでくるのか?
ある程度の展開は見えちゃってる気がしなくもないが、カフェの今後も彼の正体もやっぱり気になるわけで。ファンタジーといわれようが、初恋のトキメキを味わいたい人はやっぱり必読!
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69