日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『KIMURA 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』
『KIMURA 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』 第10巻
増田俊也(作) 原田久仁信(画) 双葉社 ¥680+税
(2016年10月21日発売)
史上最強と称される柔道家・木村政彦の人生を描いた増田俊也による『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』を、『男の星座』、『プロレススーパースター列伝』などでおなじみの原田久仁信がコミックス化した本作も、めでたく第10巻が刊行だ。
プロ柔道を設立した師匠・牛島辰熊と袂を分かち、海外へと渡ってプロレスの興行に参加した木村政彦は、ブラジルにてエリオ・グレイシーと対戦をすることに。
当時のエリオは、現在でもその名が知られるブラジリアン柔術を得意とし、約20年無敗という記録を持っていた。そんなエリオに対して「鬼の木村」が挑むのだから、これが名勝負にならないはずがない。
結果はぜひ本編を読んでいただきたいが、増田俊也の緻密な取材と原田久仁信の劇画力により、すばらしい試合に仕上がっていることだけはたしかである。
そして、本巻で描かれた対エリオ戦のあとには、木村の運命を決定的に変えてしまった「昭和の巌流島」こと力道山との試合が控えている。
原田久仁信によって、悲劇的な木村の後半生がどのように描かれるのか……最後まで目が離せない作品だ。
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
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