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『モノノ怪 -鵺-』 モノノ怪製作委員会 (作) 蜷川ヤエコ(画) 【日刊マンガガイド】

2016/12/13


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『モノノ怪 -鵺-』


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『モノノ怪 -鵺-』
モノノ怪製作委員会 (作) 蜷川ヤエコ(画) 徳間書店 ¥580+税
(2016年11月19日発売)


謎の薬売りの行くところ、常にモノノ怪あり――。
今回ご紹介するのは、高い人気を博し続けている和風ファンタジーアニメが、そのままマンガの世界に閉じこめられている仰天の1冊だ。

舞台は、雪の降りしきる京の公家屋敷。
そこには、香道の笛小路流を守る、美しき瑠璃姫(るりひめ)が住んでいた。
彼女をめぐって4人の婿候補が、組香で競うことになる。
ついにその日がやって来たが4人目は現れず、かわりに登場したのは得体の知れぬ薬売り。
数々のモノノ怪を退治してきた薬売りが相対するのは、どうやら「鵺(ぬえ)」らしいが……。

アニメ『モノノ怪』のコミカライズとしては4作目にあたる本作だが、やはり圧巻の再現度には舌を巻く。美しく、あやしく、不思議で、恐ろしい。
そして言葉にはいいつくせない味わいが、画面のそこここからあふれている。
原作のアニメ自体、非常に美術面での評価が高く、それぞれのエピソードに応じた画像表現で視聴者を驚かせたものだ。
この『鵺』ではモノトーンを多用した水墨画風で、登場するキャラクターも随時モノクロとカラーを(意図して)行き来させているという凝ったつくり。
そのなかで薬売りだけはほぼカラーで扱われ、その意匠はそのままコミックにも引き継がれている。
水墨画のような主線で、コミック本文は1色だというのに、彼だけが浮き上がるような表現は必見だ。

アニメの雰囲気をあらためて味わいたい方、また、アニメを見る前にちょっと世界観をのぞいてみたい、という方にもぜひおすすめ。
どのキャラもそのままアニメの声が聞こえてきそうではあるが、特に薬売りは、ご存じの方なら脳内アテレコで読むのも楽しいかと(笑)。



<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」

単行本情報

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