日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ゲッターロボアーク 新装版』
『ゲッターロボアーク 新装版』 第1巻
永井豪(作) 石川賢&ダイナミックプロ(画) 双葉社 ¥750+税
(2016年10月28日発売)
石川賢の手による「ゲッターロボ・サーガ」最終章となった本作が、装いも新たに3カ月連続の刊行。かの未完の大作が、このようなかたちで再び蘇ることに驚いたファンも少なくないだろう。
繰り返すが、本作は「未完」の作品である。
掲載誌の休刊により、やむをえず「第一部・完」となり……というところまでは、石川賢作品ではもはや日常茶飯事といえなくもないのだが、2006年に石川賢が急逝したことにより、本作がその結末を迎えることは永久に不可能となってしまった。
だが、未完だからといって本作を読まないというのは、あまりにももったいないことである。
一見して、とどまることなく進化を続けていることが見てとれる画風に、依然として衰えることのないバイオレンスの嵐、さらに予測不能なストーリーが渾然一体となり、『ゲッターロボ』の世界観ここに極まれり! というべき一作となっている。
もちろんこの新装版、ただただ装丁がカッコいいという理由だけでもファンであれば当然買いの1冊(たとえ既刊の双葉文庫版を持っていても!)であるのは間違いないのだが、なんとなく原作版『ゲッターロボ』に敷居の高さを感じている人も、決して物怖じすることはない……といっておこう。
さすがに、アニメを含めてまったく『ゲッターロボ』に関する見識ゼロの人が、いきなり読むのは少々ハードかもしれないが、「スパロボでいちおう知ってる」程度の知識でも全然OK!
むしろ、1970年代に描かれたオリジナルの『ゲッターロボ』よりも、初めてふれる人にとっては“2000年代のマンガ”としてアップデートされた本作のほうが、すんなり読めるのではないだろうか? という気もするのである。
そして、とにもかくにも歯を剥くゲッターにおののき、なんだかわからないが禍々しいにもほどがある諸葛孔明と戦う展開に「うわぁ、これはヤバい!」とクラクラすればそれでOK。
そのまま石川賢の"魔界"へと吸いこまれていくのも、それはとても幸せな体験である。たぶん。
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。