日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『幼女戦記』
『幼女戦記』 第1巻
カルロ・ゼン(作) 東條チカ(画) 篠月しのぶ(キャラクター原案) KADOKAWA ¥580+税
(2016年12月10日発売)
いやはや、危ない作品がコミカライズ&アニメ化されちゃったもんだ。
本当に大丈夫?
ある日本のサラリーマンが、電車にひかれて死んだ。
気がつくと眼の前に、創造主を名乗る男性がいる。
合理主義で信仰心のないサラリーマンは彼を「悪魔」だといった。憤った神は、彼をターニャという女児に転生させる。
魔法の才能を開花させちゃったターニャは、まだ幼女なのに戦争のまっただなかに駆り出された。
いわゆる「転生もの」だが、ぶっちゃけ話が進むにつれてそれどころではなくなってくる。
超合理主義的な人間が、戦場に放りこまれたらどう動くか、というガチンコ戦記ものだ。
主人公の立身出世へのこだわりが尋常じゃない。
情で行動しないため、時おりとても無慈悲。常に自分の出世効率に最適な行動をとる。
その行動が戦争を勝利に導き、ターニャはエースになっていく。
原作は、現実の宗教や国家問題をモリモリとつめこんでネタにしている作品。
あんな宗教やこんな宗教まで、ターニャは悪魔呼ばわりだ。
第二次大戦のドイツ・フランス・ロシア的なモチーフも満載。史実をネタにぽいぽい放りこむ。
これがいざマンガになると、ちょっとヒヤッとなる。絵だとごまかしがきかない。
コミックス第1巻では、9歳の幼い少女ターニャ(中身サラリーマン)の初戦闘の様子が描かれる。
ターニャはガンガン兵隊を切り刻む。そして男たちによる集中砲火を受けて、身体をぐちゃぐちゃに撃ち抜かれる。
ああ、残虐だ。ああ、楽しいな。
幼女が残忍な戦場でひどい目にあわせたりひどい目にあったり、知略を練ったりニヤけたり神を呪ったり。
いけないものを見ている快感、たまらない。
なお、2016年12月26日に第2巻、そして2017年1月26日に第3巻と、たて続けに刊行されるので要チェック。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」