365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
1月14日はLL・クール・J(ラッパー・俳優)の誕生日。本日読むべきマンガは……。
『L.L.COOL ~J太郎 帰ってきたワイルドターキーメン~』
杉作J太郎 マガジン・ファイブ ¥1,600+税
1月14日はラッパー、LL・クール・Jの誕生日(1968年)である。
1985年に16歳の若さでメジャーデビューを果たし、ファーストアルバムからヒットを記録。
セカンドアルバムでヒップホップによるバラードを初めて生み出したことはポピュラー音楽史的に大きな意義とされている。
さらにイケメンで高身長マッチョ、ファッションセンスも抜群、男もほれる男なのだ!
そして今日紹介する杉作J太郎は、漫画家、タレント、役者、映画監督そのほか様々な顔を持つが、一時期はラッパーとしても活動。LL・クール・Jにホレこみすぎて「L.L.COOL J太郎」と名乗り、この名義でデビューしてしまったからすごい!?
そう、漫画家デビュー当時の「杉作獣太郎」というペンネームがいつからJ太郎になったのは定かでないが、これもLL・クール・Jの影響か……。
『L.L.COOL J太郎 帰ってきたワイルドターキーメン』は80年代後半~90年代にかけて「ガロ」に発表された作品集。
第1部「卒業」は、いかにもムサ苦しくモテなさそうな高3男子たちを主人公とした童貞マンガ。自虐的ギャグのノリはいっさいなく、妙に堂々と胸を張った童貞たちの姿は今あらためて読むとなんだかカッコいい。
馬鹿馬鹿しいけどときどきシュール、クスッと笑えてしみじみする……どこかハードボイルドさえただよう。
「SF・禁未来編」と銘打たれた第2部では、著者の奇想が大爆発。
収録作品は多くが2ページを1単位とした前・後編。つまり4ページでひとつの話が完結しているのだが、その濃厚なこと。「愛のスーパーSF 吼えろ!ザーメン75」(4ページ)、「SF大河ロマン さよなら、ミス・ダッチワイフ」(4ページ)などなど、「これもっと長い話にもできちゃうんじゃないの?」と思わせる斬新なネタがいっぱいだ。
今も多彩な活動を続ける杉作J太郎の漫画家としての偉業を知る、決定版の1冊である。
またマンガも描いてほしいなぁ!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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