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『氷の豚』 第1巻 浅田有皆 【日刊マンガガイド】

2017/01/29


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『氷の豚』


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『氷の豚』 第1巻
浅田有皆 秋田書店 ¥562+税
(2017年1月6日発売)


闇社会で横行する、奴隷の人身売買。
奴隷は、買った側の自由にすることができる。
一生働かせてもよし、風俗にしずめてもよし、ばらして臓器をとってもよし。
もちろん、表にはそんなものがあるなんて話題にものぼらない。

田島蓮、通称ベスパ。さえないフリーター。
彼が飛びついたのは、5時間30万円の運転のバイト。それは奴隷を運ぶ仕事だった。
キレた彼は、奴隷たちを解放。だがあっさりと捕まり、自分が市場で売られることに。
ところが彼を落札したのは、女子高生ハッカー、通称「アイスピッグ」だった。

弱き者に人権なき闇社会に、青年と少女が立ち向かうクライム・サスペンス。
この裏の世界の表現がえらいえげつない。
借金のかたに臓器を摘出。買われた幼子の身体に焼印。
追っている人間の家族をレイプし、売春業者に売り飛ばす。

微塵も同情できない人間が闇社会で幅をきかせているので、かたっぱしからぶっ壊してほしくなる。
アイスピッグは凄腕のハッカー。彼女はあらゆる手段で情報戦を仕掛け、組織破壊を企てる。

「闇社会」を壊すためなら、「悪に手を染めてもいい」というのがアイスピッグの考え方。
法的にアウトな行動は多い。
この公正と罪悪の微妙なバランスのなか、斬りこみ隊長的に動く(予定の)ベスパは、極めて純朴な正義感で彼女についていく。

汚い世界を全部バッキバキに破壊してくれそうな空気に、ワクワクさせられる。
でも、まだまだ闇社会こんなもんじゃねえぞという残酷描写にも、ワクワクしてしまう。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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