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『ガン×クローバー』 第10巻 山口ミコト(作) D.P(画) 【日刊マンガガイド】

2017/02/01


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ガン×クローバー』


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『ガン×クローバー』 第10巻
山口ミコト(作) D.P(画) KADOKAWA ¥620+税
(2017年1月7日発売)


奈々世一葉(ななせ・いちは)のなかには、7つの人格がある。
冷静で銃器の扱いに長けた二葉、バーサーカーの三葉、頭脳明晰な四葉などなど……。
そして一葉は、継承者がいなくなって失われた言語「死語(デッドランゲージ)」を収めて読む能力「言語墓場(ランゲージグレイブ)」を使うことができる。

使い方によっては、何もかもを消滅させるほどの危険な力だ。
多くの人間はそれを知っており、一葉を襲おうとする。
護衛の任を受けたマスターランクの傭兵、早間守人(はやま・もりと)は、一葉を守るべくプロとして戦う。

超人的な戦闘能力を持つ守人と、入れ代わり立ち代わりで一葉を守ろうとする人格による、サバイバル・アクション。ついに第10巻目。
傭兵学校である一葉と守人が通う学校で行われる「裏体育祭」という名目のガチンコ大規模模擬戦に、敵対しているマスタークラス傭兵たちが侵入。
生徒たちを虐殺しかねない彼等に対抗すべく、味方にあたるマスタークラス傭兵も参戦。
今まで登場したあらゆる化物傭兵たちが、一堂に会してドンパチ。
炎を操るわ、異空間からものを無限に取り出すわ、超精度超遠距離で動きながらスナイプするわで、まるでお祭り騒ぎ。

「一葉の保護」のために変化する6つの人格が、よくも悪くも作用するのがおもしろい。
彼女のなかに産まれた人格は、表に出ている時相互に干渉できない。
二葉は落ち着いて社会生活を送るようにしても、三葉は身のまわりのものすべてに暴力を働いてしまう。「防衛」の価値観がばらばらなのだ。
第10巻で動く六葉もまた、一葉を守る人格。
だがそのやりかたは、周囲に多大な問題を引き起こすものだ。

数秘術をもちいて相手の力を無力化したり、核爆発を起こしたりする不死身のサイモン=パイロなど、最強クラスの敵傭兵も登場。
物語は佳境にさしかかり、アクションの派手さはどこまでも膨れ上がる。
ただ、ここまで戦闘スケールが大きくなっても、倫理と理性のタガがはずれると人をおもちゃのように壊してしまう主人公の守人が、やっぱり一番頼もしくて、もっとも怖い。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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