365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
3月10日はサボテンの日。本日読むべきマンガは……。
『ちくま文庫 ゲゲゲの鬼太郎』 第7巻
水木しげる 筑摩書房 ¥640+税
本日3月10日は、岐阜県巣南町の「さぼてん村」を経営し、世界一のサボテン生産面積を誇る、岐阜の株式会社岐孝園が制定したサボテンの日だ。
南米アメリカ大陸など、乾燥地帯に多く分布するサボテンは、そのユニークな形状と育てやすさから、世界じゅうの人々に親しまれている存在だ。
サボテンとひと言にいっても様々な種類がある。今回は、そんなサボテンたちのなかでも特異な、『ゲゲゲの鬼太郎』に登場する「妖怪サボテン」を紹介したい。
妖怪サボテンは、おなじく妖怪である後神(うしろがみ)とコンビを組んで、家を手に入れるために暗躍する。
後神が人里離れた土地の一軒家に住んでいる者に妖怪サボテンを売りつけ、買った人間と家族を妖怪サボテンが捕食し、空になった家を後神と妖怪サボテンが乗っ取ろうと企む。妖怪サボテンによって次々に家人が消えていく前半の描写は、緻密な背景描写もあって非常にホラーチック。
そんな妖怪サボテンとコンビを組む後神は、妖怪サボテンを「サボちゃん」なる愛称で呼び、「ああ、これでやっと住居と食物にありつけたぞ」と、これまでの苦労がうかがえるセリフをつぶやいていたりと、寡黙に任務を遂行する妖怪サボテンに比べて、ところどころにチャーミングな一面がかいま見える妖怪だ。
“彼女”はテレビアニメ版第5作(第86話「背後に迫る恐怖!後神」)において、不意打ちを活かして相棒であるサボちゃんにも負けない活躍を見せているので、気になった方はこちらもぜひチェックしてみてはいかがだろうか。
どのメディアでも、妖怪サボテンはとてもりっぱに描かれているため、思わず実物のサボテンを育てたくなってしまう人もいるはずだ。
だが、くれぐれも住所と家族構成を聞いてくる後神からは買わないように気をつけていただきたい。
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
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