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『大人スキップ』 第1巻 松田洋子 【日刊マンガガイド】

2017/03/22


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『大人スキップ』


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『大人スキップ』 第1巻
松田洋子 KADOKAWA ¥680+税
(2017年2月25日発売)


14歳の女子中学生が、いきなり40歳に! この設定でこのタイトルだと、どうしても北村薫のベストセラー『スキップ』(17歳の女子高生が、目覚めると42歳の主婦に…)を連想してしまうが、こちらは時空を超えたSFではなく、時間の流れは正常。

主人公の日野希子(キコ)は自室での転倒事故で昏睡状態となり、26年もの間眠り続けていたが、突如目を覚ます。すでに両親とも前年に他界しており、悪夢を見ているような日常がスタート。
それでも病院の清掃員・黒田けいと(通称・くろけー)の助力もあり、少しずつ社会復帰へ向けて動き出す。

キコは一人娘で両親に溺愛されて育てられたため、中2としても非常に幼い。そんな甘ったれた少女(40歳だけど)を明るく優しく世話するくろけーは、どこか楽しんでいる風でもある。

実年齢的には同年代の2人が友だちのような関係になるのは自然だが、くろけーはいつまでもキコに対して敬語で話し続ける(正確な年齢は不明だが、会話の内容から30代以上)。
それは敬う気持ちからではなく、どこかおもしろがっているようにも見えるし、にやにやしながら冷たく突き放すような態度をとることも。この距離感の妙こそが松田節の真骨頂だ。

やがてキコは中2のときに感じた“大人っぽい”よりも、40歳の自分が“大人っぽいの向こう側”にいるような感覚に襲われる。当然だ。
彼女はハタチの自分も、三十路の自分も、鏡で見ることなくスキップしてしまったのだ。

エリートパパが残した遺産を手にしたキコは、くろけーと同居することになるが、思い描いていた独身女性の暮らしとはほど遠い部屋に、またしても愕然。
バブル期の中2女子が憧れていた大人の世界が、せつない現実にどんどん上書きされていくさまも、残酷だけど笑ってしまう。

もとの世界に戻るというSF的選択肢のない14歳で40歳の女の子が、「大人ってなんだ?」と自問しながら少しずつ成長を遂げる。その先に何が待つのか――。
これからもハラハラしながら見守っていきたい。



<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。

単行本情報

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