人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。
今回お話をうかがったのは、林良時先生!
「友だち100人」つくるために、「魔界大使」となって人間界に赴いたコココちゃん。
コココちゃんのかわいさと「困った人を助ける」ために奮闘する様子は、見ているこちらも思わず「がんばれ!!」と引きこまれてしまいます。
伸びやかな筆致と、広がりのある世界観で第8回「このマンガがすごい!大賞」を受賞し、大注目の『まかいたいしコココちゃん』。今回は林良時先生へのインタビュー!! 林先生が夢中になったマンガや、今も楽しみにしているマンガなどが判明。そして、製作にあたって心がけているのは、あの「巨匠」の言葉だった!?
『まかいたいしコココちゃん』
林良時 宝島社 ¥900+税
(2016年12月9日発売)
<インタビュー第1弾も要チェック!>
【インタビュー】林良時『まかいたいしコココちゃん』「最後の挑戦として、自分が本当におもしろいと思える作品を」!。王道ファンタジーを生み出す原動力に迫る!!
のめりこんで読んだマンガ体験が、将来を決めた
――林先生が、最初に夢中になったマンガはなんですか?
林 『ドラゴンボール』ですね。「コココ」を描くとき、読み直してやっぱりおもしろいなと思いました。自分としては、バトルものになる前が特に好きです。
――最初に「コココ」を読んだとき、ちらっと鳥山明先生の絵は浮かびましたね。決定的に似ているわけではないんですけど。
林 影響は強いと思います。自分でもたまにアクションシーンを描いてるときに「鳥山明先生だな」と思ったりします。小学生の頃にかなり夢中になりましたから、身にしみこんでいるものがあるでしょうね。本気で叫べば金斗雲が来ると思ってるくらいにはハマってました(笑)。
――模写をしたりしてましたか?
林 描いてましたね。棒人間程度のマンガでしたが。
――そうこうするうちに、オリジナルを描くようになった?
林 いえ。ちゃんと描き出すのは高校2年生頃なんですよ。
――棒人間からそこまでは空白ですか?
林 小学生時代もそれほどマンガをたくさん読んでたわけでもないんですが、中学になるとさらに離れるんですよね。メジャーなマンガくらいは読んでいましたが。
――中学時代は何に心血を注いでたんですか?
林 何にも注いでないですよ(笑)。いちおう部活はサッカー部で……小学校からずっとやってたんですけど、それもそこまで本気ってわけでもなく。
――高校生になってマンガを描こうと思ったきっかけは?
林 ちょうどその頃『ワンピース』や『NARUTO』が始まって、再び自分のなかでマンガ熱が盛り上がったんですよ。『DEATH NOTE』や『銀魂』も始まって。高校生で多少お金があるので、毎週「ジャンプ」を買えるようになったし。将来の進路を考える時期でもあり、漫画家になりたいなと……。
――えっ!? なんだか急展開ですね(笑)。
林 すいませんね、動機が薄くって(笑)。原稿用紙とペン先を初めて買ってきたんですが、「全然描けないなぁ、どうなってんだろう」と……。ロクに線も引けなかったですよ。中2チックなアクションものを考えたりしてましたが、高校時代は1本も描き上げられませんでした。
――それでも、漫画家になりたいという気持ちはついえなかったんですか。
林 なぜか(笑)。親がいうとおり大学には進んだもののほとんど行きませんでした。ひたすら家にこもってマンガを描いていたんです。
――独学で? マンガ仲間などはいなかったんですか?
林 いませんでした。漫画家入門的な本を買ってきて……絵を描く基本やパースなどはみんな本から学びました。ストーリーのつくり方なども。
――マンガに向かう原動力になっていたのは何だったのでしょう。
林 その頃は漫画家が「クリエーター」と呼ばれるようになった時期で……浦沢直樹さんとかカッコいいなと思いましたね。そういう憧れもあったかもしれません。今は単純におもしろいマンガを描きたい、というだけですが。
――漫画家という職業のイメージって、時代によって変わりますよね。
林 そうですね。ぼくが中学くらいのときは「マンガ=オタク」のイメージが強くて。オタクは今と違って日陰者でしたし。