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【インタビュー】板垣巴留『BEASTARS』 マンガ賞総ナメ! 期待の新人作家・板垣巴留の正体に迫る!

2018/06/28


レゴシのお相手は種が「違う」ほどおもしろくなると思った

――ストーリーをつくり始めたのは?

板垣 キャラクターをたくさんつくってきて、初めてちゃんと名前をつけて、お話をつくろうとしたのがレゴシだったと思います。中学生くらいの頃です。スラッとした感じのオオカミを描いてみたら、しっくりくるものがあって。

――もともとオオカミが好きだったそうですね。

板垣 イヌが好きで、その祖先をたどるとオオカミに行きついて。オオカミってイヌ科なのに猫背なんですよね。どこかワルっぽく見えて、童話では必ず悪役にされちゃう、そういう不遇なところも含めて好きです。

3匹のこぶた、赤ずきんなど、悪役として語られがちなオオカミだが、本作では繊細なオオカミが主人公。彼以外にも、裏社会で強く生きるパンダ、男遊びするウサギ、と固定されていたイメージから離れたキャラがどんどん登場する!

――造型はほぼ、今のレゴシと変わらない感じ?

板垣 そうですね。当時はもうちょっと明るいキャラだったと思いますが。ちっちゃいメモにお話と絵を描いて、ホチキスでとめて絵本みたいなのをつくっていました。文字情報が多いと恥ずかしくて人に見せられなくて、つくって捨てる……みたいな。

――ええ〜、もったいない!

板垣 今でも私はネームをすぐ捨てちゃうし、単行本もあまり読み返さないんです。自分で見るのが恥ずかしいわけではないんですが。

――描いてる時が一番楽しいということなんでしょうか。

板垣 そうかもしれないですね。描いてる時はめっちゃがんばってるのに、完成すると、知らんぷりしちゃう。単行本にまとめる時の、矛盾や絵的なミスがないかのチェックはスタッフさんにお願いしています。

――オオカミなのにやさしくて、目立つのは好きじゃなくて、ひょうひょうとしているレゴシの性格づけはどんなイメージでつくられたのでしょうか。

板垣 私の内面に近いのかもしれません……最近のレゴシはちょっと違ってきてますけど。自分から見た好みの男性キャラというわけでもないですし。『BEASTARS』というマンガの枠組みがなければ、主人公っぽさもそんなにない、この世界にいるひとりの男の子という感じ。

――内面的な悩みなどでレゴシに共感するところはありますか?

板垣 この世界の肉食動物は、やさしいほど苦しいと思うんです。草食動物と仲よく話したあとで、「あいつ、こわそうにオレの口元を見てなかったか?」とか、気にすることがめっちゃあるだろうと。私も、わりとすごく気をつかってしまって、あとでひとりでめっちゃ疲れるタイプなので、そういうところは似てるんじゃないかと思ってます。

今では警戒されることに慣れっこのレゴシ。その強靭な肉体ゆえ、きっと幼い頃から他の肉食動物より警戒されることが多かったのだろう。

――レゴシの次にかたまったキャラクターは?

板垣 ハルです。最初から、メスのオオカミをレゴシの恋愛対象としては考えていなかったので。

――当初から、レゴシの恋人として設定したキャラクターだったんですね。ビジュアルのバランスから、小さなウサギにしたんですか?

何もかも正反対の2匹。
いっしょにいることで、おのずと草食の本能、肉食の本能に向きあわざるをえないが……今後の展開に要注目だ。

板垣 恋愛対象になるキャラは、レゴシと違っていれば違っているほどいいと思っていたので。それで、目の描き方も三白眼と、白目のないつぶらな瞳にしています。どう見てもあいいれなさそうな2人がいっしょになるとおもしろいんじゃないかって考えて。そして、当初は、食べたい気持ちを我慢しているという設定もありました。

単行本情報

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